2024.12.04 Wed
関市
桂川成美

boundary 境界

インフォメーション

開催期間
平成26年8月1日(金)~9月30日(火)
休館日
第2,4土曜日、日曜日、祝祭日、8月14日─16日、9月19日─22日

概要

 郷土岐阜を拠点に制作活動をする木版画家・桂川成美を紹介します。
桂川は、ビルや交差点、商業施設のロビー、駅構内といった日常にひろがる都市風景を切り取ったモノクロームの版画作品を制作しています。写真を基に、コラージュや加筆し出来上がったイメージは、一見リアリズム表現と捉えがちですが、白と黒のコントラストから浮かびあがる風景には、単なる再現にとどまらない奥深く存在する作家の心象が含まれています。
 今展では、初期のシリーズ作品1点を含め、17点を展示します。



私は作品を写真から作っている。
写真は、出かけた先で目にとまった場所を撮る。
その撮りためた写真の中から作品に出来そうなものを選び、いらないものを取り去ったり、必要なところを強調するように加筆したり、コラージュしたりしている。
作品のもとになる風景を撮るとき、何を基準にその場所を選んでいるかは説明が難しい。
そのときの気分に任せているし、偶然に出会うことだからだ。
でも、何かしらの共通点はあるような気がする。
いつもと同じように過ごしていても、ふと心がざわつくようなときが誰にもあると思うけれど、そういった心地にさせるような場所や状況を集めているように思う。正直なところ、あまり良い気持ちではないとき。
心がざわついて、不穏な、何か予兆めいたものを感じる、そんな気分だ。
そういった不安や穏やかでない心地が、最も継続する強い感覚なのかもしれない。
写真を選んでいるときも、撮ったときの感覚がとても強く蘇ってくる。
綺麗だった風景は、印象が薄れて遠いことのような気がしてしまう。
穏やかではない気分は単純に美しくはないけれど、私にとってなんとなく誘引されるような、恐いけれど惹かれてしまう何かを隠し持っているような感じがする。
その感覚をとどめたくて描いているのだと思う。

作品を見られた方が、どのような印象を持たれるかは全くの自由で、私と同じように感じてほしいなどとは思えないけれど、もしこの感覚を共有できたなら嬉しいと思う。

桂川成美(かつらがわ・なるみ) 略歴
1974年 岐阜県生まれ
2002年 愛知県立芸術大学大学院修了
日本版画協会展山口源新人賞・70回記念賞受賞、第2回山本鼎版画大賞展準大賞受賞
2006年 クラコウ国際版画トリエンナーレ入選
グループ展、個展多数。06年〜日本版画協会会員