2024.11.24 Sun
関市
篠田桃紅

篠田桃紅 Lithograph

インフォメーション

展示作品数
35点
開催期間
2016年10月21日~12月16日

概要

 「版画は、歳月の歴史を刷りこむことはないが、生の筆を、一たん封じ込めて、甦らせる人のいのりの心を託す場がある。その心が、描く者、刷る者の間に行き交いを生み、そのあいだを右往左往する電流を、私などはいつもたのしいものに感じて、リトグラフを作っている。」と、桃紅は著書『その日の墨』(1983年)の中でリトグラフ制作について書いています。
 1960年頃からリトグラフ制作を手掛け始めた桃紅は、当初より木村希八(1934-2014)に刷りを託してきました。木村氏は「描いた薄墨を版にすることは、計算できない偶然性が大きく伴う難しいものであった。」と、桃紅との仕事について振りかえっています。
 刷師による製版、転写というプロセスを経て、再び手元に戻ってきたリトグラフは、筆致の抑揚を表情豊かに表現し、オリジナル作品とはまたひと味違う墨象の世界を展開しています。本展では、桃紅と刷師による40年以上にわたる協同によって生まれたリトグラフの中から、薄墨の表情が冴える作品を展示し紹介します。