2024.11.22 Fri
関市
児玉桃

プレイズ・バッハ

プログラム

J.S.バッハ(1685-1750) Johann Sebastian Bach

ドイツの作曲家。「音楽の父」とも、また、ベートーヴェン・ブラームスとともに「ドイツ3大B」とも称される。
バッハは幅広いジャンルにわたって1000を超える作品を残したが、その多くが西洋音楽の最高の成果である。
主要作品は、管弦楽組曲(全4曲)、ブランデンブルク協奏曲(全6曲)、無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(全6曲)、無伴奏チェロ組曲(全6曲)、平均律クラヴィーア曲集(第1巻・第2巻)、イギリス組曲(全6曲)、フランス組曲(全6曲)、パルティータ(全6曲)、ゴルトベルク変奏曲、ミサ ロ短調、マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、クリスマス・オラトリオなど。

コラール前奏曲「いざ来ませ、異邦人の救い主」 BWV659 (ピアノ編曲:ブゾーニ“Nun komm,der Heiden Heiland” BWV659
コラール前奏曲「今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たちよ」 BWV734 (ピアノ編曲:ブゾーニ“Nun freut euch,liebe Christen” BWV734

コラール前奏曲は、教会の礼拝で唱和するコラール(ルター派教会で全会衆によって歌われる賛美歌)の前に、導入として演奏するためのものとして作曲された。
コラール旋律が引用・変奏あるいは対位法の主題などとして扱われる。
BWV659は「18のコラール」(BWV651-668)の第9曲、BWV734は「27のコラール」(BWV714-740)の第21曲。バッハのオリジナルはオルガン曲。

*ブゾーニ(Ferruccio Busoni:1866-1924)・・・イタリアの作曲家・ピアニスト・指揮者

カプリッチョ 変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちにあたって」 BWV992
Capriccio B-dur “sopra la lontananza del suo fratello dilettissimo” BWV992

第1曲 アリオーソ「彼(兄)に旅を思いとどまらせようとする友人たちの優しい言葉」
第2曲 アンダンテ「異国で遭遇するであろうさまざまな出来事へのイメージ」
第3曲 アダジッシモ「友人一同の嘆き」
第4曲 「ここに集う友人たちが、(どうしようもないと知って)別れを告げる」
第5曲 アレグロ「郵便馬車の御者のアリア」
第6曲 「郵便馬車の角笛をまねたフーガ」

1704年(1706年という説もある)、バッハ19歳の作品。兄ヨハン・ヤーコプ・バッハがスウェーデン国王との縁でスウェーデンに旅立つことになり、その送別に際して作曲された。世俗的な標題音楽はバッハとしては極めて異例。

イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971 Italienisches Konzert F-dur BWV971

第1楽章 (速度指定なし:通常はアレグロ Allegroで演奏される)
第2楽章 アンダンテ Andante
第3楽章 プレスト Presto

作曲は1734年。当時、音楽的先進国であったイタリア(ヴィヴァルディを頂点とする)のバロック協奏曲の様式を1台のチェンバロで表現しようとした革新的な作品であり、バッハの代表作の一つ。協奏曲を特徴づけるオーケストラの総奏とソロの対比が、わずか1台の鍵盤楽器によって、音の積み重ね・強弱・響きの微細な変化のなかから鮮やかに浮かび上がってくる。

休憩(20分)

平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869
Das Wohltemperierte Klavier 1 Teil BWV846-869

前奏曲とフーガ 第1番 ハ長調 BWV846
前奏曲とフーガ 第3番 嬰ハ長調 BWV848
前奏曲とフーガ 第8番 変ホ短調 BWV853

平均律クラヴィーア曲集は、バッハの最高傑作の一つ。
すべての全音と半音(白鍵音と黒鍵音)、即ち12鍵のすべてを主音とする長調と短調による24の前奏曲とフーガからなる巨大な曲集で、ハ長調-ハ短調-嬰ハ長調・・・と、ハ長調から出発して半音ずつ高くなる順序で配列されている。平均律クラヴィーア曲集には第1巻(全24曲:BWV846-869)と第2巻(全24曲:BWV870-893)がある。ショパンの「24の前奏曲」、ショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」はこの作品に触発されて作曲された。
「ピアニストにとって、バッハの平均律クラヴィーア曲集は旧約聖書であり、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ(全32曲)は新約聖書である」(ハンス・フォン・ビューロー:指揮者、1830-1894)。

パルティータ第2番 ハ短調 BWV826 Partita Nr.2 c-Moll BWV826

第1曲 シンフォニア Sinfonia
第2曲 アルマンド Allemande
第3曲 クーラント Courante
第4曲 サラバンド Sarabande
第5曲 ロンドー Rondeau
第6曲 カプリッチョ Capriccio

作曲は1725年前後。パルティータとは、もともとは舞曲をならべた組曲で、バッハの時代には、アルマンド - クーラント - サラバンド - ジーグの楽章配列が基本となっていた。
しかし、パルティータ第2番は、シンフォニアで始まり、ジーグの代わりにロンドーとカプリッチョを続けている。
定型からは著しく離れており、音楽表現の自由で独創的な拡大が実現している。

プロフィール

児玉桃
ピアノ

バッハからメシアンを含む現代作品まで、幅広いレパートリと豊かな表現力で国際的に活躍する。
幼少よりヨーロッパで育ち、パリ国立音楽院に学ぶ。1991年、ミュンヘン国際コンクールに最年少で最高位入賞。
その後、ケント・ナガノ指揮ベルリン・フィル、小澤征爾指揮ボストン響、モントリオール響、ベルリン・ドイツ響など、世界のトップ・オーケストラと共演。シャルル・デュトワ指揮NHK交響楽団とのアジア・ツアー、ウィーン八重奏団との日本ツアーなど、キャリアを築く。
2004年5月、名古屋フィルとのヨーロッパ・ツアーでメシアン「トゥランガリーラ交響曲」を演奏。イタリアではペルトの新作協奏曲をイタリア国営放送(RAI)響と共演。11月にはロジャー・ノリントン指揮シュトゥットガルト放送響とのドイツ・日本ツアーでも成功を収めた。
2005年、南仏ラ・ロック・ダンテロン音楽祭に参加。「ショパンの芸術の真髄とも言える熱狂的な演奏・・・」(ル・モンド紙)と絶賛された。
2006年4月、北ドイツ放送響の定期演奏会で細川俊夫「月夜の蓮」(世界初演)とモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏。12月には小澤征爾指揮水戸室内管の定期演奏会でも同企画で演奏。いずれも高く評価された。
2008年6月、再び細川俊夫「月夜の蓮」をもって水戸室内管のヨーロッパ・ツアーに参加。8月にはルツェルン音楽祭で細川俊夫の新作「時の花」(児玉桃のために作曲された)を世界初演。さらに、メシアン生誕100年を記念して「児玉桃メシアン・プロジェクト2008」を敢行。「幼子イエズスに注ぐ20の眼差し」「鳥のカタログ」「世の終わりのための四重奏曲」など、5回にわたるシリーズ公演を行い、画期的な音楽成果を達成。芸術選奨文部科学大臣新人賞および中島健蔵音楽賞を受賞した。
「ドビュッシー:impressions」「ショパン:ピアノ作品集」「メシアン:幼子イエズスに注ぐ20の眼差し」「メシアン:鳥のカタログ」などのCDがリリースされている(オクタヴィア・レコード)。
パリ在住。