2024.12.04 Wed
関市
徳永二男

ヴァイオリン・リサイタル

プログラム

ヴィターリ(1663-1745)
Tomaso Antonio Vitali
シャコンヌ ト短調
Chaconne g-Moll

ヴィターリはイタリアのヴァイオリニスト・作曲家。父親ジョヴァンニ・バティスタ・ヴィターリ(Giovanni Battista Vitali)も高名な音楽家。「シャコンヌ」は、一つの旋律パターンを何度も繰り返し、その繰り返しごとに和声的または対位法的に変奏していく音楽形式で、バロック期には多くの作曲家が作曲した(J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」の第5楽章「シャコンヌ」もその一つ)。ヴィターリの「シャコンヌ」は、技巧的で華麗なパッセージが繰り広げられる極めて魅力的かつ感動的な作品で、傑作の名に恥じない。

シューベルト(1797-1828)
Franz Schubert
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(二重奏曲) イ長調 D574 作品162(遺作)
Sonate (Duo) für Violine und Klavier A-dur D574 op.162 (Posth.)

第1楽章 アレグロ・モデラート Allegro Moderato
第2楽章 スケルツォ:プレスト Scherzo:Presto
第3楽章 アンダンティーノ Andantino
第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ Allegro Vivace

オーストリアの作曲家シューベルトは、31年の短い生涯であったが、数多くの名曲を作曲。とくに膨大な量かつ多様な歌曲を作曲し、「歌曲の王」ともいわれる。代表作品は、交響曲第7(8)番「未完成」、同第8(9)番「ザ・グレイト」、劇付随音楽「ロザムンデ」、ピアノ五重奏曲「ます」、弦楽四重奏曲「死と乙女」、ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調、「楽興の時」、「さすらい人幻想曲」、歌曲集「美しき水車小屋の娘」、同「冬の旅」、同「白鳥の歌」など。
シューベルトの生涯はベートーヴェン(1770-1827)の後期と重なるが、作風はまったく異なり、その音楽は古典派とロマン派の橋渡し的位置にある。

休憩20分

バッハ(1685-1750)
Johann Sebastian Bach
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
Sonate für Violine solo Nr.2 a-Moll BWV1003

第1楽章 グラーヴェ Grave
第2楽章 フーガ Fuga
第3楽章 アンダンテ Andante
第4楽章 アレグロ Allegro

「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」(全6曲。ソナタ3曲とパルティータ3曲からなる)は、バッハが残した音楽史上最高の遺産のひとつ。「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」は6曲のなかでも特に有名な作品で、深い精神性を湛え、同時に極めて高い技巧を要求する難曲である。

ヴィェニャフスキ(1835-1880)
Henryk Wieniawski
「ファウスト」による華麗なる幻想曲 作品20
Fantasie brillante sur “Faust”,op.20

ポーランドのヴァイオリニスト・作曲家。8歳でパリ音楽院に入学し、13歳でデヴュー。驚異的な技巧による華麗な演奏で広く欧米で活躍、モスクワで客死した。1935年に創設されたヴィェニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールは登竜門として有名。代表作品には、ヴァイオリン協奏曲第1番、同第2番、「モスクワの思い出」などがある。

サラサーテ(1844-1908)
Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz
ツィゴイネルワイゼン 作品20
Zigeunerweisen op.20

スペインのヴァイオリニスト・作曲家。10歳のとき、スペイン女王イサベル2世の前で演奏、その後、パリ音楽院で学び、13歳で一等賞を得た。サン=サーンスから「序奏とロンド・カプリチオーソ」、ヴァイオリン協奏曲第3番を献呈され、また、ラロの「スペイン交響曲」、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番、「スコットランド幻想曲」などを初演(献呈されている)。その華麗な名人芸は、チャイコフスキー、ブラームスなど、同時代の作曲家に多くの影響を与えた。「ツィゴイネルワイゼン」は「ロマの歌」という意味で、いくつかの民謡を組み合わせて作曲されている。原曲はヴァイオリンと管弦楽のためのものである。

プロフィール

徳永二男
ヴァイオリン

人気・実力ともに日本を代表するヴァイオリニスト。
ヴァイオリニストの父茂および鷲見三郎氏に師事。桐朋学園高校にて齋藤秀雄氏に師事。1966年、当時日本楽壇史上最年少のコンサート・マスターとして東京交響楽団に入団。1968年、文化庁在外派遣研修生としてベルリンへ留学、ミシェル・シュヴァルベ氏に師事。
1976年、NHK交響楽団のコンサート・マスターに就任、その後、ソロ・コンサート・マスターとしての重責を担い、1994年まで同楽団の“顔”として抜群の知名度と人気を誇る。N響在籍時代より欧米各地から数多く招かれ、リサイタルおよび協奏曲のソリストとして活躍。
N響退団後は、ソロ、室内楽に専念。1995年よりJTアートホール室内楽シリーズの音楽監督、1996年より宮崎国際音楽祭の総合プロデューサーを務めるなど、日本の室内楽分野における中心的立場を確固たるものとしている。ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ全集、ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集、パガニーニ:カプリースなどのCDがリリースされている。
現在、国立音楽大学教授、桐朋学園大学特任教授、洗足学園大学客員教授。

林絵里
ピアノ

東京生まれ。1977年、第31回全日本学生音楽コンクール・東日本大会で奨励賞を受賞。桐朋女子高校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部卒業。樋口恵子、弘中孝、故中島和彦の各氏に師事。卒業後、同大学において2年間、弦楽科伴奏研究員を務める。
1986年、第8回チャイコフスキー国際音楽コンクールのチェロ部門で最優秀伴奏者賞を受賞。同年より日本国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門の公式ピアニスト。1991年、ミュンヘンにてワルター・ノータス氏に室内楽を師事。
これまでに、ソ連芸術祭、東京の夏音楽祭などに出演。ヴァイオリニストのエドアルト・メルクス、ヴィヴィアン・ハグナー、徳永二男など多数のソリストと共演、また室内楽ではNHK交響楽団メンバーと共演するなど、多方面で活躍している。現在、桐朋学園大学音楽学部嘱託演奏員。