ヴァイオリン・リサイタル
プログラム
ヴィターリ(1663-1745)
Tomaso Antonio Vitali
シャコンヌ ト短調
Chaconne g-Moll
ヴィターリはイタリアのヴァイオリニスト・作曲家。父親ジョヴァンニ・バティスタ・ヴィターリ(Giovanni Battista Vitali)も高名な音楽家。「シャコンヌ」は、一つの旋律パターンを何度も繰り返し、その繰り返しごとに和声的または対位法的に変奏していく音楽形式で、バロック期には多くの作曲家が作曲した(J.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」の第5楽章「シャコンヌ」もその一つ)。ヴィターリの「シャコンヌ」は、技巧的で華麗なパッセージが繰り広げられる極めて魅力的かつ感動的な作品で、傑作の名に恥じない。
シューベルト(1797-1828)
Franz Schubert
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(二重奏曲) イ長調 D574 作品162(遺作)
Sonate (Duo) für Violine und Klavier A-dur D574 op.162 (Posth.)
第1楽章 アレグロ・モデラート Allegro Moderato
第2楽章 スケルツォ:プレスト Scherzo:Presto
第3楽章 アンダンティーノ Andantino
第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ Allegro Vivace
オーストリアの作曲家シューベルトは、31年の短い生涯であったが、数多くの名曲を作曲。とくに膨大な量かつ多様な歌曲を作曲し、「歌曲の王」ともいわれる。代表作品は、交響曲第7(8)番「未完成」、同第8(9)番「ザ・グレイト」、劇付随音楽「ロザムンデ」、ピアノ五重奏曲「ます」、弦楽四重奏曲「死と乙女」、ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調、「楽興の時」、「さすらい人幻想曲」、歌曲集「美しき水車小屋の娘」、同「冬の旅」、同「白鳥の歌」など。
シューベルトの生涯はベートーヴェン(1770-1827)の後期と重なるが、作風はまったく異なり、その音楽は古典派とロマン派の橋渡し的位置にある。
休憩20分
バッハ(1685-1750)
Johann Sebastian Bach
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
Sonate für Violine solo Nr.2 a-Moll BWV1003
第1楽章 グラーヴェ Grave
第2楽章 フーガ Fuga
第3楽章 アンダンテ Andante
第4楽章 アレグロ Allegro
「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」(全6曲。ソナタ3曲とパルティータ3曲からなる)は、バッハが残した音楽史上最高の遺産のひとつ。「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番」は6曲のなかでも特に有名な作品で、深い精神性を湛え、同時に極めて高い技巧を要求する難曲である。
ヴィェニャフスキ(1835-1880)
Henryk Wieniawski
「ファウスト」による華麗なる幻想曲 作品20
Fantasie brillante sur “Faust”,op.20
ポーランドのヴァイオリニスト・作曲家。8歳でパリ音楽院に入学し、13歳でデヴュー。驚異的な技巧による華麗な演奏で広く欧米で活躍、モスクワで客死した。1935年に創設されたヴィェニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールは登竜門として有名。代表作品には、ヴァイオリン協奏曲第1番、同第2番、「モスクワの思い出」などがある。
サラサーテ(1844-1908)
Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascuéz
ツィゴイネルワイゼン 作品20
Zigeunerweisen op.20
スペインのヴァイオリニスト・作曲家。10歳のとき、スペイン女王イサベル2世の前で演奏、その後、パリ音楽院で学び、13歳で一等賞を得た。サン=サーンスから「序奏とロンド・カプリチオーソ」、ヴァイオリン協奏曲第3番を献呈され、また、ラロの「スペイン交響曲」、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番、「スコットランド幻想曲」などを初演(献呈されている)。その華麗な名人芸は、チャイコフスキー、ブラームスなど、同時代の作曲家に多くの影響を与えた。「ツィゴイネルワイゼン」は「ロマの歌」という意味で、いくつかの民謡を組み合わせて作曲されている。原曲はヴァイオリンと管弦楽のためのものである。