メシアン「鳥のカタログ」
プログラム
メシアン(1908-1992)
Olivier Messiaen
「鳥のカタログ」
Catalogue d’oiseaux
20世紀を代表するフランスの作曲家オリヴィエ・メシアン。敬虔なカトリック教徒であったメシアンは、1931年(22歳)から終生、パリ9区・聖トリニテ教会のオルガニストとして活躍、また類い稀な博識をもつ神学者でもあった。
メシアンは、1940年代末から1950年代初めにかけて前衛音楽に向かうが、後にこれを不毛として、自然のなかにある音楽、鳥の歌による作品の探求を開始する。鳥類学者としても知られるメシアンは、世界中で鳥の鳴き声を採譜し、これを独自の音楽世界にまで高めていった。ピアノと管弦楽のための作品「鳥たちの目覚め(1953)」、同「異国の鳥たち(1956)」、そして独奏ピアノのための超大作「鳥のカタログ(1956-58)」が作曲されることになる。
メシアンは、生涯をかけて独自の音彩とリズムを追求した。その代表作品は、「世の終わりのための四重奏曲(1941)」(第2次世界大戦中、ドイツ軍の捕虜となった際、収容所内で作曲・初演されたことで有名)、「アーメンの幻視(1943)」、「幼子イエズスに注ぐ20の眼差し(1944)」、「トゥランガリーラ交響曲(1946)」、オペラ「アッシジの聖フランチェスコ(1983)」、「彼方の閃光(1992)」など。
なお、メシアンはパリ音楽院の教授としてブーレーズ、シュトックハウゼン、クセナキスなどを教えた。
「鳥のカタログ」は、全7巻13曲からなる。それぞれの曲は、フランス各地の代表的な鳥の名前を標題にしているが、仲間の鳥も合わせて全部で77種類の鳥の歌が、棲息地の風景、時間の移り変わり、静寂、気温、光と翳の変化などとともに音楽化され、大自然の色彩とリズムが饗宴する。
「小鳥こそ自由のシンボルだと思います・・・私は世界各地の民謡に深い賛美の念を抱いていますが、たとえどんなに歌心の豊かなものであっても、人間の音楽には鳥の歌声のような至上の自由さをもつメロディやリズムを見いだすことはできないと思います」(メシアン)。
「鳥のカタログ」は演奏に3時間を要する大作です。本日は全13曲のうち8曲(太字で示してあります)が演奏されます。
<第1巻>
第1番 キバシガラス Le Chocard des Alpes (Coracia graculus)
第2番 キガシラコウライウグイス Le Loriot (Oriolus oriolus)
第3番 イソヒヨドリ Le Merle bleu (Monticola solitarius)
<第2巻>
第4番 カオグロヒタキ Le Traquet stapazin (Oenanthe hispanica)
(休憩20分)
<第3巻>
第5番 モリフクロウ La Chouette hulotte (Strix aluco)
第6番 モリヒバリ L’Alouette Lulu (Lullula arborea)
<第4巻>
第7番 ヨーロッパヨシキリ La Rousserolle effarvatte (Acrocephalus scirpaceus)
<第5巻>
第8番 ヒメコウテンシ L’Alouette calandrelle (Calandrella brachydactyla)
第9番 ヨーロッパウグイス La Bouscarle (Cettia cetti)
<第6巻>
第10番 コシジロイソヒヨドリ Le Merle de roche (Monticola saxatilis)
<第7巻>
第11番 ノスリ La Buse variable (Buteo buteo)
第12番 クロサバクヒタキ Le Traquet rieur (Oenanthe leucura)
第13番 ダイシャクシギ Le Courlis cendré (Numenius arquata)