2024.11.27 Wed
関市
イェルク・デームス

ピアノ・リサイタル

プログラム

  1. モーツァルト(1756-1791)
    Wolfgang Amadeus Mozart
    幻想曲 ハ短調 K.396
    Fantasie c-moll K.396

    モーツァルトの数少ない短調の作品のひとつ。この作品は、ピアノ独奏用、およびヴァイオリンとピアノのための楽章断片の2つがあり、モーツァルトが本来構想していたのは後者とされている。ピアノ独奏用に完成したのはマクシミリアン・シュタードラー(1748-1833)である。

  2. モーツァルト(1756-1791)
    Wolfgang Amadeus Mozart
    ロンド イ短調 K.511
    Rondo a-moll K.511

    モーツァルトの数少ない短調の作品のひとつであると同時に、ロンド形式の作品に短調を採用することも珍しい。作曲は1787年。この年、モーツァルトは歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(K.527)を作曲。前年1786年には、歌劇「フィガロの結婚」(K.492)、交響曲第38番ニ長調「プラハ」(K.504)、ピアノ協奏曲第24番ハ短調(K.491),同第25番ハ長調(K.503)を作曲。翌年1788年には、交響曲第39番変ホ長調(K.543)、同第40番ト短調(K.550)、同第41番ハ長調「ジュピター」(K.551)など、大作・傑作を次々と作曲する。「ロンド イ短調」はこうした絶頂期の作品であるが、そのメランコリックな曲想は4年後に迎えることになる死への想念を感じさせもする。

  3. ベートーヴェン(1770-1827)
    Ludwig van Beethoven
    ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53 「ワルトシュタイン」
    Klaviersonate Nr.21 C-dur op.53 “Waldstein”
    第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
    Allegro con brio
    第2楽章 アダージョ・モルト - アレグレット・モデラート
    Adagio molto - Allegretto moderato

    壮麗な技巧、雄大な楽想にあふれたベートーヴェン中期の傑作であり、ピアノ・ソナタのなかで最も人気の高い作品のひとつ。ワルトシュタイン伯爵(1762-1823)に献呈されたことから、この名前がある。伯爵はウィーン出身で、音楽に深い理解と愛情を示し、ベートーヴェンを経済的に支援したのみならず、精神面でも成長を支えた。
    作曲は1803年から翌年にかけて行われたが、このころ既にピアノ・ソナタ第14番「月光」、ピアノ協奏曲第3番、ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」などが完成。この後、交響曲第3番「英雄」(作品55)、ピアノ・ヴァイオリン・チェロのための三重協奏曲(作品56)、ピアノ・ソナタ第23番「熱情」(作品57)、ヴァイオリン協奏曲(作品61)、交響曲第5番「運命」(作品67)、交響曲第6番「田園」(作品67)など,いわゆる「傑作の森」の作品群が書かれていく。

休憩20分

  1. ドビュッシー(1862-1918)
    Claude Achille Debussy
    1. 「水に映る影」(「映像」第1集より)
    “Reflets dans l’eau” (“Images” 1 série)
    2. 「雨の庭」(「版画」より)
    “Jardins sous la pluie” (“Estampes”)
    3. 「西風の見たもの」(「前奏曲集」第1巻より)
    “Ce qu’a vu le vent d’ouest” (“Préludes”1 livre)
    4. 「水の精」(「前奏曲集」第2巻より)
    “Ondine” (“Préludes” 2 livre)
    5. 「月の光がそそぐテラス」(「前奏曲集」第2巻より)
    “La terrasse des audiences au clair de lune” (“Préludes” 2 livre)
    6. 「月の光」(「ベルガマスク組曲」より)
    “Clair de Lune” (“Suite Bergamasque”)

    フランスの作曲家。長音階・短音階以外の旋法の使用、機能和声にとらわれない自由な和声法などにより、古典派・ロマン派音楽から20世紀の音楽への橋渡しを行った、音楽史上特筆すべき重要な作曲家。代表作品は、「牧神の午後への前奏曲」、交響詩「海」、歌劇「ペレアスとメリザンド」、ヴァイオリン・ソナタ、弦楽四重奏曲、「前奏曲集」第1巻・第2巻など。

  2. フランク(1822-1890)
    César Franck
    前奏曲、コラールとフーガ
    Prelude,Choral and Fugue

    ベルギーに生まれ、フランスで活動した作曲家・オルガニスト。リストやショパンに才能を注目されたが、ピアノ教師・教会オルガニストとしてつつましい生活を送った。ドイツ・ロマン派音楽、とくに同時代のワーグナーやリストに影響を受け、半音階的和声進行と循環形式を特徴としている。1871年、サン=サーンス、フォーレなどとともにフランス国民音楽協会の設立に加わり、翌年にはパリ音楽院の教授に迎えられた。弟子のダンディ、ショーソンなどは「フランキスト」と呼ばれ、後にドビュッシーなどの印象派と対抗することになる。傑作として名高いヴァイオリン・ソナタをはじめ、交響曲ニ短調、交響的練習曲、ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏曲などが有名。

プロフィール

イェルク・デームス
ピアノ

1928年、オーストリアに生まれる。11歳よりウィーン国立音楽アカデミーで学ぶ。14歳のとき、ウィーン楽友協会のコンサートでデビュー。ベートーヴェンやシューマンの連続演奏会等を開き、大成功を収め、1947年には同協会から栄誉賞を授与される。イヴ・ナット、ワルター・ギーゼキング、ウィルヘルム・ケンプ、イヴァン・フィッシャー、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリのもとで研鑽を積み、1956年、ブゾーニ国際コンクールで1位を獲得、国際的名声を不動のものにした。その後、パウル・バドゥラ=スコダ、フリードリッヒ・グルダとともに「ウィーンの三羽鳥」と称され、人気を分かち合うようになる。
ソリストとして、カラヤン、サヴァリッシュ、小澤征爾などの指揮者と共演。また、ヴァイオリンのスーク、フルートのガロワ、歌手のシュヴァルツコップ、アメリング、フィッシャー=ディースカウなどと共演。初来日は1961年。以来、全国各地でリサイタルを行い、ドイツ・ロマン派の大家として支持されている。また、オリジナル古楽器の収集と演奏にも定評があり、1970年、ベートーヴェン生誕200年にはボンのベートーヴェン・フェスティヴァルで、ベートーヴェンが使用したハンマーフリューゲルを演奏した。1997年、ウィーンでのシューベルト200年誕生日コンサートに出演。
現在までに400を超えるLP・CD・ヴィデオが録音・録画され、その幾つかは国際的な賞を受賞している。フィッシャー=ディースカウとのシューベルト歌曲集は今もなおベストセラーである。著作や楽譜の編纂にも積極的で、エッセイでは「解釈の冒険」、パウル・バドゥラ=スコダとの共著「ベートーヴェンのソナタ」がある。