ピアノ・リサイタル
プログラム
- モーツァルト(1756-1791)
Wolfgang Amadeus Mozart
幻想曲 ハ短調 K.396
Fantasie c-moll K.396モーツァルトの数少ない短調の作品のひとつ。この作品は、ピアノ独奏用、およびヴァイオリンとピアノのための楽章断片の2つがあり、モーツァルトが本来構想していたのは後者とされている。ピアノ独奏用に完成したのはマクシミリアン・シュタードラー(1748-1833)である。
- モーツァルト(1756-1791)
Wolfgang Amadeus Mozart
ロンド イ短調 K.511
Rondo a-moll K.511モーツァルトの数少ない短調の作品のひとつであると同時に、ロンド形式の作品に短調を採用することも珍しい。作曲は1787年。この年、モーツァルトは歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(K.527)を作曲。前年1786年には、歌劇「フィガロの結婚」(K.492)、交響曲第38番ニ長調「プラハ」(K.504)、ピアノ協奏曲第24番ハ短調(K.491),同第25番ハ長調(K.503)を作曲。翌年1788年には、交響曲第39番変ホ長調(K.543)、同第40番ト短調(K.550)、同第41番ハ長調「ジュピター」(K.551)など、大作・傑作を次々と作曲する。「ロンド イ短調」はこうした絶頂期の作品であるが、そのメランコリックな曲想は4年後に迎えることになる死への想念を感じさせもする。
- ベートーヴェン(1770-1827)
Ludwig van Beethoven
ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53 「ワルトシュタイン」
Klaviersonate Nr.21 C-dur op.53 “Waldstein”
第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
Allegro con brio
第2楽章 アダージョ・モルト - アレグレット・モデラート
Adagio molto - Allegretto moderato壮麗な技巧、雄大な楽想にあふれたベートーヴェン中期の傑作であり、ピアノ・ソナタのなかで最も人気の高い作品のひとつ。ワルトシュタイン伯爵(1762-1823)に献呈されたことから、この名前がある。伯爵はウィーン出身で、音楽に深い理解と愛情を示し、ベートーヴェンを経済的に支援したのみならず、精神面でも成長を支えた。
作曲は1803年から翌年にかけて行われたが、このころ既にピアノ・ソナタ第14番「月光」、ピアノ協奏曲第3番、ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」などが完成。この後、交響曲第3番「英雄」(作品55)、ピアノ・ヴァイオリン・チェロのための三重協奏曲(作品56)、ピアノ・ソナタ第23番「熱情」(作品57)、ヴァイオリン協奏曲(作品61)、交響曲第5番「運命」(作品67)、交響曲第6番「田園」(作品67)など,いわゆる「傑作の森」の作品群が書かれていく。
休憩20分
- ドビュッシー(1862-1918)
Claude Achille Debussy
1. 「水に映る影」(「映像」第1集より)
“Reflets dans l’eau” (“Images” 1 série)
2. 「雨の庭」(「版画」より)
“Jardins sous la pluie” (“Estampes”)
3. 「西風の見たもの」(「前奏曲集」第1巻より)
“Ce qu’a vu le vent d’ouest” (“Préludes”1 livre)
4. 「水の精」(「前奏曲集」第2巻より)
“Ondine” (“Préludes” 2 livre)
5. 「月の光がそそぐテラス」(「前奏曲集」第2巻より)
“La terrasse des audiences au clair de lune” (“Préludes” 2 livre)
6. 「月の光」(「ベルガマスク組曲」より)
“Clair de Lune” (“Suite Bergamasque”)フランスの作曲家。長音階・短音階以外の旋法の使用、機能和声にとらわれない自由な和声法などにより、古典派・ロマン派音楽から20世紀の音楽への橋渡しを行った、音楽史上特筆すべき重要な作曲家。代表作品は、「牧神の午後への前奏曲」、交響詩「海」、歌劇「ペレアスとメリザンド」、ヴァイオリン・ソナタ、弦楽四重奏曲、「前奏曲集」第1巻・第2巻など。
- フランク(1822-1890)
César Franck
前奏曲、コラールとフーガ
Prelude,Choral and Fugueベルギーに生まれ、フランスで活動した作曲家・オルガニスト。リストやショパンに才能を注目されたが、ピアノ教師・教会オルガニストとしてつつましい生活を送った。ドイツ・ロマン派音楽、とくに同時代のワーグナーやリストに影響を受け、半音階的和声進行と循環形式を特徴としている。1871年、サン=サーンス、フォーレなどとともにフランス国民音楽協会の設立に加わり、翌年にはパリ音楽院の教授に迎えられた。弟子のダンディ、ショーソンなどは「フランキスト」と呼ばれ、後にドビュッシーなどの印象派と対抗することになる。傑作として名高いヴァイオリン・ソナタをはじめ、交響曲ニ短調、交響的練習曲、ピアノ五重奏曲、弦楽四重奏曲などが有名。