コンサート

池田昭子オーボエ・コンサート


篠田桃紅芸術月間−2008− 春宵のいろ 岐阜現代美術館 関市立篠田桃紅芸術空間 共同企画

Program

  1. サン=サーンス(1835-1921)
    Charles Camille Saint-Saens
    オーボエとピアノのためのソナタ ニ長調 作品166
    Sonate pour Hautbois avec accompt de Piano,op.166
    第1楽章 アンダンティーノ Andantino
    第2楽章 アレグレット Allegretto
    第3楽章 モルト・アレグロ Molto allegro

    フランスの作曲家。オルガニスト・ピアニストとしても活躍。ほかに数学者・画家・詩人など、あらゆる才能をもった天才であった。
    1871年、フランス音楽普及のため、フランク、フォーレらとともにフランス国民音楽協会を設立した。ほとんど全ての分野の音楽を作曲したが、とくに交響曲第3番「オルガン付き」、組曲「動物の謝肉祭」、交響詩「死の舞踏」、「序奏とロンド・カプリチオーソ」、「ハバネラ」、歌劇「サムソンとデリラ」などが有名。
    このオーボエ・ソナタは、85年の長い人生の最後の年に作曲された。全曲を通し、フランスの田舎を思わせるのどかな雰囲気の、視界が開けた曲となっている。
    (オーボエ+ピアノ)

  2. サン=サーンス(1835-1921)
    Charles Camille Saint-Saens
    バスーンとピアノのためのソナタ ト長調 作品168
    Sonate pour Basson avec accompt de Piano,op.168
    第1楽章 アレグロ・モデラート Allegro moderato
    第2楽章 アレグロ・スケルツァンド Allegro scherzando
    第3楽章 モルト・アダージョ−アレグロ・モデラート Molto adagio-Allegro moderato

    オーボエ・ソナタ(作品166)そしてクラリネット・ソナタ(作品167)に続いて、サン=サーンスはこのバスーン(別名ファゴット)とピアノのためのソナタを残してこの世を去った。
    清らかなピアノのアルペジオに乗る甘美なバスーンの高音のフレーズは懐かしさを感じさせる。バスーンの魅力が余すところなく発揮される名曲。
    (ファゴット+ピアノ)

休憩20分

  1. ジョリヴェ(1905-1974)
    Andre Jolivet
    オーボエとバスーンのためのソナチネ
    Sonatine pour Hautbois et Basson
    第1楽章 序曲 Ouvertur
    第2楽章 レシタティーフ Recitatif
    第3楽章 オスティナート Ostinato

    フランスの作曲家、音楽教育者。画家の父とピアノ教師の母の間にパリで生まれた。
    さまざまな作曲技法を用いて、実験的で過激な前衛音楽からポピュラーなCM音楽まで幅広い分野で作曲。何度も作風を変えたことから、「音楽のジキルとハイド」と揶揄されることもある。オリヴィエ・メシアンとともにベルリオーズの回帰を目指す「若きフランス」を結成した。ピエール・ブーレーズとの不仲は有名。
    1963年に作曲されたこの作品は、絶妙な2つの楽器の絡み合いが緊張感を生み、またジャズ風のリズムが印象的である。
    (オーボエ+ファゴット)

  2. ゴーベール(1879-1941)
    Philippe Gaubert
    「田園風間奏曲」
    Intermede Champetre pour Hautbois et Piano

    戦間期のフランスの最も重要な音楽家のひとり。パリ・オペラ座の音楽監督、パリ音楽院のフルート科教授、パリ音楽院管弦楽団の首席指揮者などを務めた。
    作曲家としては主にフルートの作品を数多く残した。
    「田園風間奏曲」はパリ音楽院の試験の課題曲として作曲された。
    随所にドビュッシーやラヴェルの試みを取り入れたと思われるフレーズや和声がある。
    (オーボエ+ピアノ)

  3. プーランク(1899-1963)
    Francis Jean Marcel Poulenc
    ピアノ、オーボエ、バスーンのための三重奏曲
    Trio pour Piano,Hautbois et Basson
    第1楽章 プレスト−レント Presto-Lento
    第2楽章 アンダンテ Andante
    第3楽章 ロンド Rondo

    フランスの作曲家。エリック・サティらとともに、フランス6人組のひとり。24歳のとき、ロシア・バレエ団を主宰するセルゲイ・ディアギレフの委嘱でバレエ「牡鹿」を作曲し、1924年に初演された。脚本はジャン・コクトー、舞台と衣装はマリー・ローランサン、振付・主演はブロニスラヴァ・ニジンスカという極めて豪華な顔ぶれであった。作風はメロディに富み、軽快でユーモアのあることから「フランスのモーツァルト」とも呼ばれる。私生活では、両性愛者で、恋人の一人に「肉体の悪魔」で有名なレイモン・ラディゲがいたとされる。この三重奏曲は、プーランクらしい軽快なフレーズとメランコリックなメロディが次から次へと展開し、洒落た劇を見ているような楽器の対話が楽しい。
    (オーボエ+ファゴット+ピアノ)

Profile

池田昭子

池田昭子(オーボエ) Shoko Ikeda, oboe
1997年、東京藝術大学卒業。卒業時に皇居内桃華楽堂にて御前演奏を行う。広田智之、小島葉子、宮本文昭、フランソワ・ルルーの各氏に師事。第4回津山国際総合音楽祭ダブルリードコンクール第1位。第13回日本管打楽器コンクールオーボエ部門第1位。1997年から2002年まで東京交響楽団に在籍。2000年、文化庁在外研修員として、リヒャルト・シュトラウス音楽院(ミュンヘン)に留学。2004年、NHK交響楽団に入団。
現在、NHK交響楽団オーボエ奏者、『トリオ・サンクアンシュ』メンバー、東京藝術大学非常勤講師。


吉田將

吉田將(ファゴット) Masaru Yoshida, fagotto
1964年、東京生まれ。武蔵野音楽大学卒業後、1989年、国立ハノーファー音楽大学ソロクラスを卒業。岡崎耕治、クラウス・トゥーネマンの各氏に師事。1987年、B.S.O.ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニーに主席奏者として入団。第3回日本管打楽器コンクール第2位入賞。1989年、ベルギー王立フレミッシュ・オペラ首席奏者を経て、同年、読売日本交響楽団首席奏者に就任。読響のソリストとして数回出演。武蔵野音楽大学、日本大学芸術学部、洗足学園音楽大学、国立音楽大学、各講師。小澤征爾音楽塾講師。木曽福島音楽祭、宮崎国際室内楽音楽祭などにレギュラー出演。サイトウ・キネン・オーケストラで首席奏者として活躍中。


石田三和子

石田三和子(ピアノ) Miwako Ishida, piano
東京都出身。幼少の頃よりピアノ・作曲を学び、国内外で演奏活動を行う。ロストロポーヴィッチ指揮、ワシントン・ナショナル交響楽団をはじめ、多くのオーケストラや奏者と共演。国立音楽大学卒業、東京藝術大学別科修了。欧州の国際音楽アカデミーにおいても研鑽を積む。第3回多摩フレッシュ音楽コンクールピアノ部門入選。N響・都響・フィラデルフィア管など国内外のオーケストラ団員との共演も多く、アンサンブルピアニストとして活躍。辛島輝治、上田晴子、三木香代、E・アンドレアスの各氏に師事。

公演日展示の桃紅作品は、池田昭子さんに選んでいただきました

篠田桃紅さんの画との出会いは2007年10月、岐阜現代美術館を訪れたときです。『おもい』という作品にぐっと引き付けられました。すっと重力に垂直に凛と立つ女性のような姿に心が澄み渡りました。なんというセンス、なんという・・・言葉になりませんでした。
後に、音楽用語でのrisoluto(決然と)という言葉がぴったりくると思い始めました。同美術館には篠田桃紅さんが作品に向かわれるお写真が多数展示されていますが、そのお姿こそrisoluto、決然と凛々とされています。
桃紅さんの作品はどれも大好きなのですが、今回は一演奏家として特に親近感を感じるものを選ばせていただきました。

(池田昭子)