コンサート

ホルン三重奏の夕べ at Gi-Co-Ma

ホルン:大野総一郎、ヴァイオリン:樫本大進、ピアノ:本荘玲子。超豪華メンバーによるホルン・トリオ2曲。現代日本を代表する作曲家のひとり、野田暉行の「ヴァイオリン、ホルン、ピアノのための三重奏曲(1963)」、およびブラームスの「ホルン三重奏曲」。他のどんな楽器からも得られないホルンの悠揚迫らざる響きに、ヴァイオリンとピアノが織り成す音楽はいかにもロマンティックなイメージをかきたてます。
ギャラリーでは、「篠田桃紅~紅の彩り」をテーマに近作を中心に33点を展示いたしました。
岐阜県ミュージアムひだ、関市立篠田桃紅美術空間、および岐阜現代美術館(Gi-Co-Ma)の3館による桃紅作品の共同企画展の一環です。


Program

野田暉行
ヴァイオリン、ホルン、ピアノのための三重奏曲(1963)
Teruyuki Noda(1940-)
Trio pour Violon, Cor et Piano

第1楽章プレリュード Prelude
第2楽章スケルツォ Scherzo
第3楽章コラールと哀歌 Choral et Lamento
第4楽章フィナーレ Finale

現代日本を代表する作曲家のひとり、野田暉行22歳のときの作品。
1629小節に及ぶ大作で、演奏時間は40分を超える。
全体は4楽章からなるが、切れ目なく演奏される。
第1楽章第1主題が全曲にわたって循環する。


ヨハネス・ブラームス
ホルン三重奏曲変ホ長調作品40
Johannes Brahms (1833-1897)
Trio fur Pianoforte, Violine und Waldhorn Es-Dur op.40

第1楽章アンダンテ Andante
第2楽章スケルツォ:アレグロ Scherzo, Allegro
第3楽章アダージョ・メスト Adagio mesto
第4楽章アレグロ・コン・ブリオ Allegro con brio

ブラームスの数ある室内楽のうち、ホルンを用いた唯一の作品。
完成は1865年、ブラームス32歳。このとき、交響曲第1番(作品68)はまだ完成していない(1876年に完成)。
曲は4楽章からなり、柔和でロマン的な美しさをたたえている。
重厚で諦観にあふれる第3楽章は、全曲のなかでもっともブラームスらしさを感じさせる。
亡くなった母に対する悲歌ともいわれている。

Profile

大野総一郎大野総一郎(ホルン) Soichiro Ohno, Horn

1949年、東京に生まれる。17歳よりホルンを灰原節男氏に師事。武蔵野音楽大学にて薗清隆氏に師事。その後、東京交響楽団に入団。この間、田中正大氏に師事。1972年、渡独。フランクフルト高等音楽院に入学し、グスタフ・ノイデッカー教授に師事。かたわら放送局での室内楽・ソロの録音、ならびに放送交響楽団での演奏、ナチュラル・ホルンによる古典管弦合奏団等に参加。1977年に同音学院を最優秀の成績で卒業。1978年、フランクフルト放送管弦楽団に入団。同年フランクフルト・ホルン・トリオを結成、またフランクフルト金管五重奏団員としても活躍。ドイツを中心に各地で演奏・レコード録音を行う。1982年より度々日本においてリサイタルおよび室内楽などの演奏会を開く。
ドイツ・イギリス・アメリカ等における国際ホルン協会シンポジウムにソロ・アーティストとして参加。サイトウ・キネン・オーケストラメンバーおよび国際ホルン協会評議委員などを歴任。翻訳著作として「ホルンがうまくなる」(音楽之友社)を出版。フランクフルト放送管弦楽団首席ホルン奏者を経て、1993年よりフランクフルト放送交響楽団に移籍、現在に至る。
オーケストラでの演奏のかたわら、室内楽・ソロ活動のほか、日独ホルン倶楽部会長、フランクフルト・コンセルヴァトリウム音楽院講師を務め、日本でも後進の指導に当たっている。


樫本大進樫本大進(ヴァイオリン) Daishin Kashimoto, Violin

1979年、ロンドン生まれ。恵藤久美子、田中直子、ザハール・ブロン、ライナー・クスマウルの各氏に師事。1996年のフリッツ・クライスラー、ロン=ティボーの両国際音楽コンクールでの1位をはじめとして、5つの権威ある国際コンクールにて優勝。当時50年の歴史を誇るロン=ティボーでは史上最年少優勝という快挙で世界の注目をあびた。
2002年、NHK大河ドラマ「利家とまつ」紀行テーマを演奏。これまでロリン・マゼール、小澤征爾、マリス・ヤンソンス、チョン・ミョンフンなどの著名指揮者の下、国内外のオーケストラと共演。1995年アリオン音楽賞、1997年出光音楽賞、モービル音楽賞、1998年新日鉄音楽賞フレッシュアーチスト賞、平成9年度芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。ソニー・クラシカルNYとCD契約を結び、2007年2月、3枚目のCD(ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、チョン・ミョンフン指揮、シュターツカペレ・ドレスデンとのゼンパーオパー演奏会ライヴ)が発売された。
室内楽にも意欲的に取り組み、ギドン・クレーメル、ミッシャ・マイスキー、エマニュエル・パユ、ポール・メイエなどの著名演奏家とも共演を重ねている。2007年1月にはチョン・ミョンフンのピアノで皇太子殿下と室内楽演奏会を行っている。この5~6月にはミハエル・プレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管弦楽団とモスクワおよび東京で共演。使用楽器は1674年製アンドレア・グヮルネリ。


沖恵子本荘玲子(ピアノ) Reiko Honshoh, Piano

桐朋学園短期大学音楽科を首席で卒業、その後、ウィーン音楽大学、ライプツィヒ音楽院で学ぶ。ピアノを寺西昭子、J・ディヒラー、J・フィッシャー、伊達純、中村紘子の諸氏に師事。第25回音楽コンクール入賞。第5回文化放送音楽賞、第6回福山ピアノ賞をそれぞれ受賞。古典から現代まで幅広いレパートリを、あらゆる器楽奏者と共演することができる貴重なピアニスト。
アンサンブルの非凡な才能を学生時代から多くの指揮者に認められ、高校1年のときから東京の各オーケストラや放送局で活躍を始めた。室内楽奏者としても、数多くの日本人・外国人演奏家と共演。“いつも自分と同じ呼吸をしてくれるピアニスト”と、ホンショウとの共演を望む演奏家は多く、世界各国を飛び回っている。またNHK交響楽団のピアノ奏者を40年間務めたほか、日本中のオーケストラと共演。カラヤン/ベルリン・フィルやベーム/ウィーン・フィルの来日公演にもソリストとして出演している。
オリヴィエ・メシアン作曲「異国の鳥たち」の日本初演(1962.1.15、NHK交響楽団、ヴィルヘルム・シュヒター指揮)および同「トゥーランガリラ交響曲」の日本初演(1962.7.4、NHK交響楽団、小澤征爾指揮)の奏者を務めたことでも有名。多彩な才能に恵まれて多方面に活躍する日本の音楽界の重鎮である。NHK交響楽団団友。